ガーゼも脱脂綿も医療の現場でよく使われますが、製法に大きな違いがあります。
脱脂綿は綿花をそのままの形で利用したもので、織られていません。
具体的には綿の実をほぐして細かい毛だけを取り出し、アルカリ性の液体で脱脂し、
絡まった繊維を梳いて整え、一定の大きさに加工したものです。
塊で販売されることもありますが、使いやすいように小さくカットされた製品が主流で、
傷口を拭いたり薬を塗ったりするときに使用されます。
ガーゼは元来はドイツ語で、40番手程度の細い木綿糸を、
1インチあたり20~30本程度の粗い平織りにした織物です。
脱脂綿と同じように、漂白・消毒して傷口に当てる布として用いられてきましたが、
現在では傷には当てないほうが良いという説もあります。
繊維の短い木綿で細く長い糸を作るのは、かつては困難でしたが、現在では紡績技術も進歩し、
低コストで品質の高い布が生産できるようになっています。
また中空糸や無撚糸を用いて二重・三重に織られた製品も販売されています。
ガーゼは軽くて肌触りが柔らかく、通気性や吸湿性に富むことから、
医療用以外にも赤ちゃんの肌着などに利用されています。
またタオルやハンカチの素材としても人気があります。
最近では木綿だけでなく、麻や絹を材料にした製品もあります。
タオルとしては薄すぎて頼りないというデメリットもありますが、
多重織りにしたり異なる繊維を組み合わせたりしてカバーすることができます。